費用を抑えつつ、故人との最後の時間を大切にしたいと考える方に、最も選ばれているのが「家族葬」です。しかし、単に「家族葬でお願いします」と依頼するだけでは、思ったほど費用が安くならないケースもあります。家族葬のメリットを最大限に活かし、賢く費用を抑えるためには、いくつかのポイントがあります。家族葬で費用が安くなる最大の理由は、参列者が少ないことによる「変動費」の削減です。変動費とは、参列者の人数に応じて増減する費用のことで、具体的には「飲食費」と「返礼品代」がこれにあたります。一般的な葬儀では、この二つの費用が総額の三分の一以上を占めることも珍しくありません。したがって、家族葬の費用を抑えるには、まず「参列者の範囲を明確に定義する」ことが最も重要です。どこまでの親戚に声をかけるのか、故人の友人は呼ぶのか、事前に家族でしっかりと話し合い、曖昧なまま範囲を広げないことが大切です。故人の交友関係を考え、訃報を知らせる範囲と、葬儀に参列をお願いする範囲を、分けて考えることも有効です。次に、食事の内容です。家族葬では、必ずしも高価な懐石弁当を用意する必要はありません。故人が好きだったお店の仕出し弁当を頼んだり、あるいは寿司桶やオードブルを囲んで、よりアットホームな雰囲気で食事をしたりすることも可能です。返礼品も、高価な品物を選ぶのではなく、千円程度の焼き菓子やコーヒーなど、心のこもった品物で十分感謝の気持ちは伝わります。また、式場選びも重要です。大規模な斎場ではなく、葬儀社が所有する小規模な家族葬専用ホールや、公営の斎場の小式場を利用することで、会場費を大きく抑えることができます。これらのポイントを意識することで、家族葬は、ただ安いだけでなく、より心のこもった、温かいお別れの形となるのです。