葬儀の日程で最も強く意識されるのは「友引」ですが、それ以外にも、地域や個人の考え方によって避けられることがある日が存在します。絶対的なタブーではありませんが、知っておくことで、より円滑な日程調整が可能になります。六曜の中で、友引の次に意識されるのが「赤口(しゃっこう・しゃっく)」です。赤口は、陰陽道において凶日とされ、特に「赤」という字から火や血を連想させるため、火事や刃物に注意すべき日とされています。このことから、火葬を伴う葬儀や、怪我を連想させることから、避けるべきだと考える人もいます。ただし、友引ほど強い禁忌ではなく、火葬場も通常通り稼働しているため、葬儀が執り行われることは珍しくありません。また、六曜とは別に、年末年始、特に「三が日(一月一日~三日)」は、ほとんどの火葬場が休業となるため、葬儀を執り行うことは物理的に不可能です。多くの人が新年を祝う時期に、葬儀を行うこと自体を避けたいという心情的な側面もあります。同様に、お盆の時期も、菩提寺の住職が檀家回りなどで多忙を極めるため、日程調整が非常に困難になる場合があります。さらに、地域によっては、独自の風習で特定の縁起の悪い日を避けることもあります。これらの日は、友引のように絶対的なルールではありません。しかし、葬儀の日程は、遺族の希望だけでなく、親族や地域の慣習、そして火葬場や宗教者といった関係者の都合が複雑に絡み合って決まります。様々な「避けるべき日」の存在を念頭に置き、柔軟に日程を検討することが求められるのです。ご遺族の判断だけでなく、親族の意見にも耳を傾け、皆が納得できる日を選ぶことが、円満な葬儀の第一歩となります。