夕方の葬儀を避けるケース一日葬とは
夕方からのお通夜と、翌日の昼の告別式という、二日間にわたる葬儀が日本の一般的な形式ですが、近年、この形式をとらず、あえて夕方の儀式を避ける「一日葬」という選択をするご家庭が増えています。一日葬とは、その名の通り、お通夜を行わず、告別式から火葬までを一日で済ませてしまう葬儀の形式です。この形式が選ばれる背景には、現代社会が抱える様々な事情と、ご遺族の負担を軽減したいという切実な想いがあります。一日葬の最大のメリットは「遺族の身体的・精神的負担の軽減」です。二日間にわたって多くの弔問客に対応し、気を張り詰め続けなければならない従来の葬儀は、特に高齢のご遺族にとって、非常に大きな負担となります。儀式を一日 に集約することで、この負担を大幅に減らすことができます。また、「費用の削減」も大きな利点です。お通夜を行わないため、弔問客に振る舞う「通夜振る舞い」の飲食費が一切不要になります。これは、葬儀費用の中でも大きな割合を占めるため、総額をかなり抑えることが可能です。さらに、遠方から参列する親族にとっても、宿泊の必要がなくなるため、経済的・時間的な負担を軽減できるというメリットがあります。一方で、デメリットも存在します。それは、お通夜という「夕方の弔問の機会」が失われることです。平日の日中に行われる告別式のみとなると、仕事の都合などで参列したくてもできない友人・知人が出てきてしまう可能性があります。故人とのお別れを願う多くの人の機会を確保したい場合は、従来の二日間の形式が望ましいでしょう。一日葬は、参列者を家族やごく近しい親族に限定した、小規模な家族葬と組み合わせて行われることが多い、現代的なお別れの形なのです。ご遺族の状況や故人の交友関係を考慮し、最適な形を選ぶことが大切です。