葬儀費用を安くする具体的な工夫
葬儀全体の形式を「家族葬」や「直葬」にすること以外にも、葬儀費用を安くするための、より具体的で細かな工夫がいくつか存在します。葬儀社との打ち合わせの際に、これらの点を意識して交渉することで、最終的な請求額に大きな差が生まれることもあります。まず、見直すべきは「祭壇」です。祭壇は葬儀費用の多くを占める要素ですが、必ずしも豪華な白木祭壇を選ぶ必要はありません。近年では、生花だけで飾る「花祭壇」が人気ですが、これも花の量や種類によって値段が大きく変わります。祭壇そのものを設けず、遺影写真の周りをシンプルに花で飾るだけでも、十分に心のこもった空間は作れます。故人が好きだった花を数本だけ飾る、というのも素敵な演出です。次に「棺」です。棺も、材質や装飾によって、数万円のものから百万円を超えるものまで、値段に大きな幅があります。故人の尊厳を守ることはもちろん大切ですが、見栄を張って過度に高価なものを選ぶ必要はありません。シンプルで清潔な桐の棺でも、十分に立派なお見送りができます。最近では、環境に配慮した段ボール製の「エコ棺」など、安価で機能的な選択肢も増えています。また、故人を偲ぶための「遺影写真」も、葬儀社にすべて任せるのではなく、自分でデータを用意し、引き伸ばしや額装を写真店に依頼することで、費用を抑えられる場合があります。さらに、意外と見落としがちなのが「会葬礼状」などの印刷物です。葬儀社が用意する定型文のものではなく、自分で文面を考え、印刷業者に直接発注すれば、費用を節約できるだけでなく、より心のこもったお礼状を作成できます。こうした小さな工夫の積み重ねが、大きな節約に繋がります。大切なのは、どこにお金をかけ、どこを削るのか、その優先順位を家族でしっかりと話し合うことです。