葬儀を避けるべき日は宗教で違う
日本の葬儀で広く意識される「友引」は、仏教の教えとは無関係な、六曜という民間信仰に基づいています。では、他の宗教、例えばキリスト教や神道では、葬儀を避けるべき日という考え方は存在するのでしょうか。結論から言うと、それぞれの宗教に特有の考え方があります。まず、キリスト教において、六曜の吉凶は全く考慮されません。したがって、友引や仏滅といった日を理由に葬儀の日程が左右されることはありません。しかし、キリスト教徒にとって最も大切な日である「日曜日」は、教会で礼拝が行われるため、葬儀を執り行うことは通常ありません。牧師や神父が、週に一度の最も重要な務めである礼拝を優先するためです。また、イエス・キリストの復活を祝う「イースター(復活祭)」や、降誕を祝う「クリスマス」の期間中も、お祝いの時期であるため、葬儀は避けるのが一般的です。次に、日本の古来の宗教である神道においても、六曜は関係ありません。友引の日に神式の葬儀(葬場祭)を執り行うことも可能です。ただし、その場合も、火葬場が休みであれば、火葬は別の日に行うことになります。神道で避けられるのは、神社で大きなお祭り(例大祭など)が行われる日です。神職の方々が、お祭りの準備や奉仕で多忙になるため、葬儀の対応が難しくなる場合があります。また、仏教の中でも、浄土真宗は、阿弥陀仏の教えの元では死後すぐに極楽浄生すると考えるため、「友を引く」といった迷信を明確に否定しています。しかし、現実問題として、檀家の人々や火葬場の都合により、友引の葬儀を避けているのが実情です。このように、葬儀を避けるべき日は、信仰する宗教の教義や文化によって大きく異なります。参列する際や、葬儀を依頼する際には、その宗教への理解と配慮が求められます。