お通夜と告別式、両方の案内を受けたものの、仕事の都合などでどちらか一方にしか参列できない場合、どちらを優先すべきか悩む方は少なくありません。これには明確な決まりがあるわけではなく、故人やご遺族との関係性、そして自分自身の状況を考慮して判断するのが基本となります。伝統的な考え方では、お通夜は、主に近親者や特に親しい友人が、夜通し故人に付き添い、別れを惜しむためのプライベートな儀式でした。一方、告別式は、一般の弔問客が故人に最後の別れを告げるための、より社会的な儀式と位置づけられてきました。この観点からすると、一般の知人や会社関係者であれば、告別式に参列するのが本来の形と言えるかもしれません。しかし、現代社会では、その意味合いも大きく変化しています。前述の通り、多くの人が参列しやすいように、お通夜は夕方に設定され、一般の弔問客を広く受け入れる「半通夜」が主流となりました。これにより、事実上、お通夜が告別式と同様の、社会的なお別れの場としての役割を担うようになっています。むしろ、平日の昼間に行われる告別式よりも、夕方のお通夜の方が参列者が多い、というケースも珍しくありません。したがって、現代においては、「どちらか一方にしか行けないのであれば、都合のつく方へ参列する」というのが、最も現実的で、かつ失礼のない考え方と言えるでしょう。夕方のお通夜であれば、仕事への影響も少なく、落ち着いて故人を偲ぶことができます。昼の告別式であれば、出棺まで見送ることができます。どちらの儀式も、故人を悼むための大切な機会です。自分の気持ちと都合に正直に、無理のない形で弔意を示すことが何よりも大切なのです。ご遺族に連絡が取れるのであれば、一言「どちらにご都合がよろしいでしょうか」と尋ねてみるのも、丁寧な対応と言えます。
夕方の通夜と昼の告別式どちらに参列すべきか