正喪服としてのロングスカートの歴史と格式
現在私たちが認識している喪服の常識は時代とともに変化してきましたが歴史を紐解くとロングスカートは最も格式の高い「正喪服」として皇室や上流階級の女性たちに着用されてきた由緒あるスタイルであることがわかります。明治時代以降西洋の文化が取り入れられる中で洋装の喪服が普及し始めましたがその中でもくるぶしまで隠れるような長い丈のスカートやワンピースは「アフタヌーンドレス」の流れを汲むものであり肌の露出を極限まで抑えることが最大の敬意表現であるというキリスト教的な価値観とも相まって最上級の礼装として定着しました。現在でも皇室の葬儀や公式な追悼行事において女性皇族方が着用されているのは床すれすれまでの長さがあるロングドレス形式の喪服でありこれこそが本来の「正喪服」の姿なのですが一般的な葬儀においては動きやすさや実用性が重視されるようになり膝下丈の「準喪服」が主流となりました。そのため一般の参列者が皇族のようなロングドレスを着ていくと「格式が高すぎる」として逆に浮いてしまう恐れがありますが喪主や遺族といった「迎える側」の立場であれば一般参列者よりも格上の装いをするという意味でロング丈の喪服を選ぶことは理にかなっており非常に理知的で厳粛な印象を与えることができます。このようにロングスカートには単なるファッションとしての長さだけでなく「悲しみの深さを露出の少なさで表す」という精神性と「最も格式高い装いで故人を送る」という歴史的な背景が含まれていることを理解するとその選び方や着こなしにも自然と深みと自信が生まれてくるはずです。